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戻り鰹(もどりがつお)は、春から初夏にかけて日本近海を北上した鰹が、秋になって南へ戻る時期に漁獲されるものを指します。
春の初鰹に対して、秋の戻り鰹は海で十分に餌を食べて成長しているため、脂がのり、濃厚な味わいになるのが大きな特徴です。
特に土佐沖や三陸沖などでは、秋の味覚として戻り鰹が親しまれています。
名称:戻り鰹(もどりがつお)
英名:Skipjack tuna
学名:Katsuwonus pelamis
分類:スズキ目・サバ科・カツオ属
生息域:温暖な海域から日本近海
旬:秋
特徴:脂が豊富、赤身が濃く、濃厚なうまみ
春の鰹:初鰹
秋の鰹:戻り鰹
主な食べ方:刺身、たたき、寿司、丼、煮物など
戻り鰹は、特定の魚種の名前ではありません。
同じ**カツオ(Katsuwonus pelamis)**が季節によって日本近海を移動する中で、秋に南下してくる時期のものを「戻り鰹」と呼びます。
つまり、
春の鰹=初鰹
秋の鰹=戻り鰹
という季節による呼び分けです。
初鰹は、春から初夏にかけて日本近海へ北上してくる鰹です。
まだ脂肪がそれほど多くなく、赤身がさっぱりしていて、爽やかな味わいが特徴です。
一方、戻り鰹は夏の間にたくさん餌を食べているため、脂がしっかりとのっています。
そのため、
初鰹=さっぱり、香りがよい
戻り鰹=脂がのり、濃厚
という違いがよく知られています。
鰹は日本近海を北上しながら、魚類や甲殻類などを盛んに食べて成長します。
夏の間に豊富な餌を食べて体に栄養を蓄えた鰹が、秋になると南下を始めます。
この時期の鰹は脂がのり、春とは違った濃厚な味わいになります。
戻り鰹の身は、鮮やかな赤色をしています。
鰹は高速で泳ぎ続ける回遊魚で、筋肉に多くの酸素を供給する必要があります。
そのため筋肉にはミオグロビンが多く含まれ、赤身の魚らしい濃い色をしています。
鰹はマグロ類にも負けないほど活発に泳ぐ魚です。
流線型の体と強力な尾びれを使い、海中を高速で移動します。
長距離を回遊するため、非常に発達した筋肉を持っています。
鰹は泳ぎ続けることで、えらへ海水を通して呼吸するラム換水に適した体の構造を持っています。
そのため、泳ぎを止めることが苦手な魚として知られています。
この高い遊泳能力が、長距離を回遊する鰹の生活を支えています。
鰹の体は、頭から尾に向かって細くなる紡錘形をしています。
この流線型の体と発達した筋肉によって、水の抵抗を抑えながら高速で泳ぐことができます。
背側は濃い青黒色、腹側は銀白色で、体側には特徴的な縞模様が見られます。
鰹の体には、腹側から背側へ向かって伸びる暗色の縞模様があります。
特に死後の鮮魚では目立ちにくいことがありますが、生きた鰹では特徴的な模様として確認できます。
鰹は単独で生活することもありますが、餌を追うときなどには大きな群れを形成します。
群れで小魚を追い込み、一斉に捕食する姿は非常に迫力があります。
鰹は肉食性の魚です。
主な餌には、
などがあります。
豊富な餌を食べながら成長し、秋の戻り鰹として脂を蓄えていきます。
鰹は日本各地で漁獲されています。
代表的な漁法のひとつが一本釣りです。
一本の釣り竿で一匹ずつ釣り上げる伝統的な漁法で、特に高知県などで有名です。
高知県は、日本を代表する鰹の産地です。
高知では鰹を使った鰹のたたきが郷土料理として広く知られています。
藁で表面を豪快に炙ることで、香ばしい香りを付けます。
戻り鰹の代表的な食べ方が鰹のたたきです。
鰹の表面を強火でさっと炙り、外側だけに香ばしい焼き目を付けます。
内部は鮮やかな赤身を残し、薬味やポン酢などと一緒に食べます。
高知の鰹のたたきでは、藁焼きが特に有名です。
藁を燃やすことで非常に強い火力が生まれ、鰹の表面を短時間で一気に炙ります。
藁特有の香ばしい煙が鰹の表面に移り、独特の風味が生まれます。
鰹のたたきには、
などの薬味がよく使われます。
脂ののった戻り鰹に薬味の香りと辛味が加わることで、濃厚ながら爽やかな味わいになります。
脂ののった戻り鰹は、刺身としても人気があります。
鮮度の良い鰹は、濃い赤色の身としっかりしたうまみを楽しめます。
初鰹よりも脂が多く、まぐろのトロに近い濃厚さを感じることもあります。
ご飯の上に鰹の刺身やたたきを乗せた鰹丼も人気です。
醤油やポン酢、薬味などを合わせれば、戻り鰹のうまみを存分に楽しめます。
鰹は生食だけでなく、鰹節の原料としても非常に重要です。
鰹を煮熟し、乾燥させ、さらにカビ付けなどの工程を経て作られた鰹節は、日本料理のだしに欠かせない存在です。
鰹にはイノシン酸などのうまみ成分が含まれています。
鰹節から取っただしは、味噌汁、そば、うどん、煮物など、さまざまな日本料理の基本となっています。
鰹は高タンパクな魚で、
などを含みます。
特に赤身魚らしく、鉄やビタミンB群を含むことも特徴です。
鰹には、身の中央付近に血合いと呼ばれる濃い色の部分があります。
血合いにはミオグロビンや鉄などが多く含まれており、鰹の特徴的な赤黒い色をしています。
独特の風味があるため、好みが分かれる部分でもあります。
鰹は日本人にとって非常に古くから馴染みのある魚です。
古代から食用にされ、江戸時代には初鰹が特に珍重されました。
「初物を食べると寿命が75日延びる」という江戸時代の俗説が生まれるほど、初鰹は人気の高い食材でした。
江戸時代には初鰹人気を表す、
「女房を質に入れても初鰹」
という有名な言葉まで生まれました。
それほど当時の江戸っ子にとって初鰹は特別な存在だったのです。
初鰹が「春の味覚」なら、戻り鰹は秋の味覚です。
夏の間に栄養を蓄えた鰹は、秋になると脂が増し、濃厚な味わいになります。
秋刀魚や栗、柿などと並び、日本の秋を代表する食材のひとつです。
戻り鰹の時期は地域や海況によって変わりますが、一般的には8月〜11月ごろが目安とされます。
特に秋が深まるにつれて脂がのった鰹が楽しめるようになります。
戻り鰹の最大の魅力は、なんといっても脂ののった身です。
赤身の濃厚なうまみに脂のコクが加わるため、刺身やたたきにすると非常に存在感があります。
初鰹と戻り鰹は、同じ鰹でも味わいが大きく異なります。
初鰹
さっぱり
赤身が爽やか
香りがよい
春らしい味わい
戻り鰹
脂が豊富
濃厚なうまみ
しっとりした食感
秋らしい味わい
季節によって違う魅力を楽しめるのが鰹の面白さです。
戻り鰹は、春に日本近海を北上した鰹が、夏の間に餌をたっぷり食べ、秋に南下する時期に漁獲される鰹です。
魚種としては初鰹と同じカツオで、季節によって呼び名が変わります。
夏の間に栄養を蓄えることで脂がのり、春の初鰹よりも濃厚でコクのある味わいになります。
特に高知県の鰹のたたきは有名で、藁で表面を豪快に炙った香ばしいたたきは、戻り鰹の魅力を存分に味わえる料理です。
刺身や寿司、鰹丼などでも楽しめるほか、鰹節として日本料理のだしを支える存在でもあります。
春に北へ向かい、夏の海でたっぷりと餌を食べ、秋になると再び南へ戻ってくる――戻り鰹は、季節の海を大きく回遊しながら脂と旨みを蓄える、日本の秋を代表する海の味覚です。