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セミイルカは、北太平洋の冷たい海域に生息するマイルカ科・セミイルカ属の小型〜中型のイルカです。学名はLissodelphis borealis、英名はNorthern right whale dolphinです。
最大の特徴は、背びれが完全にないこと。イルカとしては非常に珍しく、細長く滑らかな体と相まって、まるで海中を滑るような独特の姿をしています。
名称:セミイルカ
英名:Northern right whale dolphin
学名:Lissodelphis borealis
分類:哺乳類・鯨偶蹄目・マイルカ科・セミイルカ属
生息域:北太平洋
主な環境:冷帯〜温帯の外洋、深い海域
体長:約2〜3m前後
体重:約120kg前後
体色:ほぼ全身が黒色、腹面の一部が白色
食べ物:魚類、イカ・タコなど
特徴:背びれがない、細長い体、細い吻、白い腹面の模様
生活:大きな群れを形成する
活動:外洋を高速で泳ぎながら餌を探す
セミイルカ最大の特徴は、何といっても背びれが存在しないことです。
一般的なイルカでは、背中の中央に背びれがあります。
しかしセミイルカにはそれがありません。
そのため、水面から姿を現したときも背びれが見えず、長く滑らかな黒い背中だけが水面を走るように見えます。
名前の由来は、背びれがないことだけではありません。
細長く、背中がなだらかに盛り上がる独特の体形がセミクジラに似ていることから「セミイルカ」と呼ばれています。
セミイルカの体は非常に細長く、全体的にすらりとのびた流線型をしています。
頭部から背中へ向かってなだらかに膨らみ、そのまま細長い尾柄へと続きます。
背びれがないことで、体の輪郭がより滑らかに見えます。
体色はほぼ全身が黒色です。
ただし、腹面の一部には白色の部分があり、下顎の先端にも小さな白色斑があります。
黒い背中と白い腹側のコントラストが、このイルカの特徴的な模様を作っています。
腹側には、喉の後方から尾びれの分岐部分にかけて白い帯状の模様があります。
この白い部分は胸部付近で幅が広くなり、尾に近づくにつれて細くなります。
水中を横から見ると、黒い体の下側に白いラインが入ったように見えます。
セミイルカにはイルカらしい吻がありますが、非常に細く、体全体の細長い形によく馴染んでいます。
吻と頭部の境目には、かすかな溝があります。
唇は比較的まっすぐで長いのも特徴です。
セミイルカは北太平洋にのみ生息するイルカです。
主な分布域は北緯30〜50度付近の冷帯から温帯の海域とされ、日本近海でも記録があります。
セミイルカは一般的に外洋性です。
水深の深い海域を好み、沿岸の浅い海よりも広大な沖合を生活の場としています。
ただし、深い海が近い沿岸部に近づくこともあります。
セミイルカは非常に群れ好きなイルカです。
通常、100〜200頭ほどの群れを作ることがあり、さらに数百頭規模の巨大な群れになることもあります。
数百頭もの細長い黒いイルカが一斉に海面を走る姿は、非常に迫力があります。
セミイルカは同種だけでなく、カマイルカやハナゴンドウなどと一緒に行動することもあります。
複数の種類の鯨類が混ざった大きな群れを作ることもあり、外洋ならではの興味深い光景が見られます。
セミイルカは肉食性で、
などを食べます。
特に外洋の中層付近を泳ぐ魚やイカなどが重要な餌となります。
細長く流線型の体は、高速で泳ぐのに適しています。
大きな群れで一斉に泳ぎながら魚の群れを追い、海面近くを勢いよく移動します。
背びれがないため、遠くから見ると黒い体が水面を連続して滑っていくような姿になります。
背びれがない理由は完全には明らかになっていません。
ただし、外洋で高速遊泳するセミイルカにとって、背びれのない細長い体は、ほかのイルカとは異なる独特の遊泳形態につながっています。
背中に障害となる突起がないため、非常に滑らかなシルエットをしています。
セミイルカは深い海域を移動しながら、魚やイカなどの獲物を探します。
外洋では獲物の分布が変化するため、大きな群れで広範囲を移動しながら採餌することが重要です。
セミイルカもハクジラ類なので、**エコーロケーション(反響定位)**を利用して周囲の環境や獲物を探します。
視界の悪い海中でも音を利用して獲物の位置を把握できます。
北太平洋に分布するセミイルカは、日本近海でも確認されています。
国立科学博物館の記録では、北海道、青森、宮城、神奈川など、日本沿岸での漂着・迷入事例も記録されています。
セミイルカは大型のオキゴンドウなどと比べると小型です。
成獣でおおむね3m前後ですが、オスとメスで体長に差があり、オスの方が大きくなる傾向があります。
名前が似ていますが、セミイルカとセミクジラはまったく別の動物です。
セミイルカはマイルカ科のハクジラであり、セミクジラはヒゲクジラの仲間です。
セミイルカは歯を持ち、魚やイカなどを捕食します。
セミイルカは現在、IUCNレッドリストで**低懸念(LC)**とされています。
ただし、外洋性の鯨類であるため、生息数や分布を正確に把握することは容易ではありません。
セミイルカは、北太平洋の冷帯から温帯の外洋に生息する、細長い体と完全に背びれを欠く特徴的なイルカです。
ほぼ全身が黒色で、腹面には白い帯状の模様があります。
細い吻と長い体、そして背びれのない滑らかな背中は、ほかのイルカにはない独特の姿です。
魚やイカなどを食べながら外洋を泳ぎ、通常100〜200頭ほど、ときには数百頭規模の大群を作って生活します。
背びれを持たない細長い黒い体で、数百頭もの仲間とともに北太平洋を駆け抜ける――セミイルカは、イルカの中でもひときわ珍しい姿と高い群集性を持つ、外洋のスペシャリストです。